藤原道長が朝廷の権力を掌握していくにつれて、それをよく思わない者も出てきた。彼らは法師陰陽師を使って道長を呪詛したり、邸宅の下に厭物を埋めた。
『宇治拾遺物語』『古事談』『十訓抄』には「藤原道長が愛犬を連れて法成寺に入ろうとすると、突然犬が吠えて道長を中に入れないようにした。不思議に思った道長が晴明を呼んで占わせたところ、道中に厭物が埋まっているとのことだった。実際に、その場所には厭物が埋められていた。その厭物は、道摩法師が藤原顕光の命で呪詛をかけたものだった」という説話がある。
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参考宇治拾遺物語 御堂関白御犬晴明等奇特事 現代語訳
犬が神通力によって藤原道長を呪詛から救った説話は、『宇治拾遺物語』『古事談』『十訓抄』などに収録されています。道長が法成寺に入ろうすると連れていた犬に引き止められたので、道長が安倍晴明を呼んで占わせた ...
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参考十訓抄 現代語訳 巻七 御堂入道殿（道長）の白犬 道摩法師の厭術
基本情報 十訓抄とは 内容 御堂殿（藤原道長）が法成寺を造らせたとき、御堂殿は可愛がって飼っていた白い犬を連れて毎日様子を見に行った。 ある日、御堂殿が門をくぐろうとすると、犬が先に進み出て、走り回っ ...
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参考前賢故実 現代語訳 安倍晴明の紹介
『前賢故実ぜんけんこじつ』は、天保七年(1836)～慶応四年(1868)から明治時代に刊行された伝記集で、神武天皇から後村上天皇までの有名人500人余りが人物画とともに収録されている。全10巻20冊。 ...
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藤原道長を襲う呪詛
呪詛をかけられる道長
【1】長徳元年(995)8月10日 法師陰陽師→道長
長徳元年(995)8月10日甲申、「陰陽師法師」が高階成忠の家において右大臣藤原道長を呪詛した。内府藤原伊周の所為のようであった。（『百練抄』）
【2】長徳二年(996)3月28日 藤原詮子が呪詛される
長徳二年(996)3月28日戊辰、東三条院藤原詮子は重病を患っていた。ある人の説では呪詛によるもので、女院の寝殿の板敷の下から厭物が掘り出されたという。（『小右記』）
【3】長徳二年(996)12月15日 法師陰陽師→道長
長徳二年(996)12月15日、法師陰陽師が藤原道長を呪詛したことがわかった。（『小記目録』）
【4】長保二年(1000)5月8日 安正→道長
長保二年(1000)5月8日、藤原道長の病気は式神のせいではないかと疑われた。（『小記目録』）
同年5月9日、道長の自宅で厭物が発見された。（『小記目録』）
同年5月11日、道長を呪詛した疑いで安正が尋問を受けた。（『小記目録』）
同年5月18日、安正は獄所から召し出された。（『小記目録』）
同年6月5日、安正が獄中で亡くなった。（『小記目録』）
【5】寛弘五年(1008)12月中旬
寛弘五年(1008)12月中旬、源方理が円能に呪符の作成を依頼した。（『政事要略』）
同年12月下旬、高階光子（藤原伊周の伯母）が円能に呪符の作成を依頼した。（『政事要略』）
寛弘六年(1009)1月30日、内裏において中宮藤原彰子・敦成親王を呪詛する厭物が発見された。（『権記』『日本紀略』）
同年2月4日庚寅、中宮彰子・敦成親王・藤原道長を呪詛した罪で法師円能が捕らえられた。その後、円能の供述によって首謀者は源方理・源為文・高階光子だとわかった。（『権記』）
同年2月20日、道長たちの呪詛に関わった人々の罪が決まった。（『権記』『百錬抄』『日本紀略』）
【6】長和元年(1012)4月10日 道長の娘妍子が呪詛される
長和元年(1012)4月10日丁未、中宮藤原妍子（道長の娘）の邸宅で、井戸の底に厭物があると報告があった。道長が安倍吉平を召して調べさせたところ、厭物だということだった。（『小右記』『御堂関白記』）
同年4月11日戊申、惟風朝臣が道長のもとに来て言ったことには「昨日、厭物のあった井戸の水を汲むと、その具物がありました」という。また、道長は陰陽師等を召して解除を行なわせた。（『御堂関白記』）
【7】長和元年(1012)6月17日 藤原為任が道長を呪詛する
長和元年(1012)6月17日癸丑、藤原実資のもとに「先日、藤原道長を呪詛する落書きが見つかった」との知らせが届いた。その落書きは、藤原為任が五人の陰陽師に呪詛させたものだった。実資は嘆き悲しんだ。（『小右記』）
【8】寛仁二年(1018)6月24日 藤原顕光の娘延子が道長を呪詛する
寛仁二年(1018)6月24日、藤原顕光の娘延子が貴船明神に祈って道長を呪詛したという噂が流れた。（『小右記』）
