陰陽寮と神祇官
災いが頻繁に起こり妖徴も見られたので、神祇官が亀卜、陰陽寮が占筮を用いて占ったところ、伊勢大神神社及び諸神社の祟りによるものだという。(『続日本紀』天応二年〈782〉7月29日条)
神祇官の結果が優先されていた時代
大井比叡小野栗栖野等の山がともに燃え、煙や灰が四方に充満した。これは、山陵地を決める際に陰陽寮の卜筮に従い、神祇官の亀卜に従わなかったせいで災いが頻りに起こっているのだ。(『日本後紀』大同三年〈808〉3月23日条)
怪異の出現で陰陽寮の発言力が強まる
神祇官及び陰陽寮の者を内裏に召して卜筮を行わせたところ、物怪のせいだという。(『類聚国史』巻一〇七「職官十二 陰陽寮」天長八年〈831〉2月2日条)
先帝(嵯峨上皇)の遺誡には「物怪を先霊の祟りとしてはいけない」とあるが、今、物怪の出現ついて卜筮を行わせたところ、先霊の祟りだという結果が出た。
卜筮の結果を信じれば遺誡に背くことになるが、信じなければ祟りを忍ばなければならない。どうすればよいか。もしくは、遺誡を改めるべきか。検討し、古典の文章を典拠としたところ、卜筮を信じるべきだ、ということになった。(『続日本後紀』承和十一年〈844〉8月5日条)
当初は陰陽寮が物怪について占い、対応は別の者が行っていた。
陰陽寮に物怪について占わせたところ、疫気があるということだったので、使者を伊勢大神宮へ遣わして奉幣せよと勅命があった。(『続日本後紀』承和九年〈842〉6月5日条)
陰陽寮曰く、今年の秋は雨の被害があり、これを防がなければ穀物に被害が出る恐れがあるため、五畿内七道諸国に命じて名神に奉幣し、雨の被害を予防するべきだ。(『続日本後紀』承和十五年〈848〉6月10日条)
参考資料
- 細井 浩志「新陰陽道叢書 第一巻 古代」名著出版、2020年
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