式神―晴明が得意とした鬼神を自在に操る術

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陰陽道

式神の「式」は「もちいる」という意味で、式神とは「神をもちいる」ということである。
そのため、式神という特別な神がいるわけではなかったのだが、いつのまにか鬼神の一種として考えられるようになった。

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神霊的存在としての『式神』

『今昔物語集』に登場する式神は神霊的存在で、仏教における護法善神の一種『護法童子』である。
修験道や密教で使役される鬼神と本質的には同じ類のものである。

『今昔物語集』における式神

晴明が播磨の老僧の式神を隠す話があるが、この式神は僧のお供をする二人の童子である。

呪物としての『式神』

一方、『宇治拾遺物語』の式神は、陰陽師が無生物であるはずの紙に呪力を吹き込むことによって生物のように操られる。

『宇治拾遺物語』における式神

晴明が草の葉に呪文をかけて蛙に投げつけ潰す話、鳥の姿に紙を折って呪文を吹き込み空に投げると、白鷺に変わった話がある。

古代中国で発展した禁術の一種

人を禁ずれば人は動けず、虎を禁ずれば虎は地に伏す、といったものである。
この禁術が病に効くということで中国の官僚組織に取り込まれて呪禁道となり、日本に輸入された。

道教の剪紙成兵術

紙で作った人形を人か鬼神のようなものに変えて駆使する術。

紙人形や木人は呪術でよく使われる道具で、そこに術者が命を吹き込むことによって動き出す。
このような術は陰陽師に限らず、世界中の呪術者に使われている。

無生物に魂を吹き込むことは可能なのか

陰陽道において、大祓で罪や穢れを肩代わりして川へ流される人形は、対象者の一部分、すなわち分身として処理されることで初めて役割を果たす。
また、呪詛で使う人形においても、敵の魂を人形に吹き込むことができるからこそ相手にダメージを与えることができるのである。
したがって、無生物に霊力を吹き込んで使うことも不可能とは言えないことになる。

また、これらの無生物から成る式神には必ず用途があり、目的が果たされれば元の無生物に戻るのも共通している。

実際の生物で式神を作成する『蠱毒』

実際の生物を用いて式神を作る方法を蠱毒という。
狭い容器の中に蛇やガマを入れ、共食いをさせて生き残ったほうを使う呪術。

犬神

怨念の強い大型の生物を用いて呪詛をかける。

式神と十二神将

『源平盛衰記』では、晴明は十二人の式神を駆使したとされている。
これらは、十二神将が変化したものだという。
十二神将とは、陰陽道で用いる一年と十二ヶ月から割り出された神である。
一年十二ヶ月が五行に配分されるように、十二神将も五行に配分される。

十二神将とは五行が変容して一年十二ヶ月の吉凶禍福を司る神となったものである。
また、彼らは晴明たち陰陽師が過去・現在・未来を察するのに用いている六壬式盤の神であり、式盤の神―式神である。