牛頭天王の8人の息子たちを八将神という。
彼らは春夏秋冬とそれぞれの季節の間にある土用の日を回る行疫神である。
星の神様と考えられていたが、実際のところ太歳神を除いてほとんどの天王は星とは関係なく、五行と八方位が由来である。
八将神
八将神 | ||||
名前 | 星 | 吉凶 | 名 | 本地 |
太歳神 | 歳星(木星) | 吉神 | 総光天王 | 薬師如来 |
大将軍 | 太白星(金星) | 凶神 | 魔王天王 | 他化自在天 |
太陰神 | 鎮星(土星) | 吉/凶 | 倶摩羅天王 | 聖観自在尊 |
歳刑神 | 辰星(水星) | 凶神 | 得達神天王 | 堅牢地神 |
歳破神 | 鎮星(土星) | 凶神 | 良侍天王 | 河伯大水神 |
歳殺神 | 熒惑星(火星) | 凶神 | 侍神相天王 | 大威徳明王 |
黄幡神 | 羅睺星 | 吉/凶 | 宅神相天王 | 摩利支天王 |
豹尾神 | 計都星 | 蛇読気神 | 三宝荒神 |
太歳神
その年の十二支を神様としたもので、十二支が十二年で一巡することから歳月の星=歳星と呼ばれた。
太歳神がいる方角に家を建てるのは大吉で、木を伐採したりすると凶となる。
大将軍
太白星(金星)の神。
あらゆるものを枯らす性質を持っているので、大将軍がいる方角には何もしてはいけない。
三年塞がり
平安時代、大将軍は東西南北に三年ずつ留まると信じられていた。
これを三年塞がりといって、それぞれの方角にこの神を祀った。
- 東:南禅寺前
- 西:紙屋川東
- 南:藤森社内
- 北:大徳寺門前
大将軍の方位
一年間を通して大将軍は下図のように移動する。

大陰神
大陰神は大歳神の后。
古くから后は後宮に住むのが習わしなので、大歳神の二つ前の十二支にいる。
この神のいる方角にも何もしてはいけない。
また、結婚に関わることは凶となる。
歳刑神
歳刑神は刑罰を司る神である。
この神のいる方位に武具を収めるとよい。
土を掘ったり耕したりしてはいけない。
歳破神
歳破神のいる方角に向かって海や河を渡ってはいけない。
家を建てるのもいけない。
四孟
歳破神が寅・申・巳・亥の方位にいる年は、歳破神の気が生まれる。
生まれたばかりなので、太歳神と戦う前に敗れてしまう。
戦う前に敗れるため、被害は少ない。
四仲
歳破神が子・午・卯・酉の方位にいる年。
歳破神の気が最も強くなり、太歳神と戦っても敗れない。
四季
歳破神が丑・未・辰・戌の方位にいる年。
歳破神の気が衰え太歳神と戦うと必ず敗れてしまうので、最も注意すべき年である。
この方位に土を動かしたり畜類を求めてはいけない。
歳殺神
『万暦大成』では、金星の精と考えられている。
金の気は万物が滅する方位である。
歳殺神のいる方角に弓矢を放ったり、結婚を行っていはいけない。
武具を収納するのは大吉。
黄幡神
『万暦大成』によると、幡を立てたような姿で未・戌・丑・辰の四隅に位置している。
太歳神の墓とされていて、黄色い土であることからこう名付けられた。
黄幡神のいる方角に向かって土に関わる作業をしたり、財宝を納めてはいけない。
豹尾神
黄幡神の向かいに位置し、黄幡神と同様に幡の神と考えられている。
豹が尾を振りながら疾走するような激しさと恐ろしさを持つため、凶悪な神とされた。
豹尾神のいる方角に向かって用を足したり、動物を飼ってはいけない。
羅睺星と計都星
太歳神・大将軍・太陰神・歳刑神・歳破神・歳殺神は五行にまつわる星を司るが、黄幡神の羅睺星と豹尾神の計都星は架空の星である。
これらの星は黄道(太陽の通り道)と白道(月の通り道)が交わる点にあると考えて創られた星だという。
羅睺星
蝕神(日月の光を隠す)といわれている。
計都星
豹尾という名の蝕神の尾で、彗星であるとも考えられている。
参考資料
- 高平 鳴海「図解 陰陽師」新紀元社、2007年
- 藤巻一保「安倍晴明『簠簋内伝』現代語訳総解説」戎光祥出版、2017年
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