陰陽道

陰陽五行説―木火土金水、『五行大義』についての説明

陰陽五行説は陰陽説と五行説が合わさったもので、陰陽道の根幹を成す思想である。
中国の戦国時代末頃から「陰陽五行説」と呼ばれるようになった。その後、五行説を整理して項目ごとに分類した『五行大義』が著された。

天平宝字元年(757)11月、『五行大義』は陰陽生の教科書として記されている。(『続日本記』)

陰陽説

二元論としての陰陽

陰陽説は、あらゆるものを「陰」と「陽」に分けて説明しようとする考え方である。

中国の前漢時代、「万物は『気』で構成されている」という思想が確立された。
そして、『気』は積極的な陽気と消極的な陰気があり、二つの気が混ざりあっていろいろなものを形作っているのだと考えられていた。

いろいろな陰陽の例
太陽
受動的能動的

すべてのものは陰と陽に分けられるといっても、陽気あるいは陰気のみで成り立っているものはなく、あくまでどちらか一方の気が強く現れるという意味である。

『易経」では、世界のはじまりは太極という混沌で、そこから陰と陽に分かれていったと考えられている。
さらに陰陽はそれぞれ「明るいもの」と「暗いもの」に分けられ、陽の中で明るいものを太陽、陰の中で暗いものを太陰という。

太陰と太陽

方向を表す陰陽

陽は右・上への移動を表し、陰は左・下への運動を表す。

五行説

「あらゆるものは5つの要素(木・火・土・金・水)で成り立っている」という考え方が五行説である。

五行
五行

また、季節における五行は木が春、火が夏、金が秋、水が冬である。土は春夏秋冬すべての季節に対応する。

時間における五行は木が朝、火が昼、金が夕方、水が夜である。

木火土金水

春秋元命苞:木は「触」を表す。地に接触して生ずるからである。

許慎:木は「冒」を表す。地を冒して萌え出づるからである。字は「屮」であり、下は木の根をかたどっている。

木を四季でいうと春にあたる。『礼記』曰く春は「蠢」という字に用いられており、万物を生む季節でもあるからだ。

木を方位でいうと東にあたる。尸子曰く「東は気が震えて動くので、『動』を表している」という。

木の陰陽

木は少陽の位にいる。その中に火が伏しているので、木は暖かくてやわらかい性質を持っている。

白虎通:火は「化」を表す。陽気によって万物は変化するからだ。

許慎:火は炎上する。その字は、炎(もえ)て上る、形をかたどっている。

火の陰陽

火は太陽の位にいる。燃え盛っていてとても明るい性質を持っている。

土の陰陽

土は四季の中心にある。他の四行を収めるので、作物を植える性質をもつ。

土は四季の中心にある

六月末の夏の土用になると陰陽のバランスが崩れる。陽気が衰え、陰気が活性化する。

夏の土用は陽気が衰え、陰気が活性化する

金は土から生まれてくるので「金」という字には「土」が含まれており、左右の点々は土の中にある金を表している。

金の陰陽

金は少陰の位にいる。少陰は冷たい性質をもつので、金は冷たい。

水は、陰気によって万物が次第に変化して潤い流されることを意味する。
「水」という字は二人の男女が合わさって「一」をなし、その「一」から男女が出てくることを表している。

男と女が合体する
「一」から男女が出てきて水になる
水の陰陽

五方

五行説で方角を五つに分けたものを五方という。
木が東、火が南、金が西、水が北、土が中央にあたる。
土はすべてのものの基礎となるからである。

五行と方角
五方

五行相生と五行相克

五行同士の良好な関係を相生、反発し合う関係を相克という。
相生は陽の関係、相克は陰の関係を表している。

相生

経典曰く、天は一を生み、北方の水に始まる。地は二を生み、南方の火に始まる。人は三を生み、東方の木に始まる。時は四を生み、西方の金に始まる。そして、五行は五を生み、中央の土に始まる。

五行はみな陰陽の気によって生じる。
濡気は水を生み、温気は火を生み、強気は木を生み、剛気は金を生み、和気は土を生む。ゆえに、五行は同時に起こり、義に託して相生ずる。

五行相生は、互いに異なる性質を持つ二つのものが合わさることを言う。男女の繁殖に似ている。天には五行があり、木火土金水がこれである。
木は火を生み、火は土を生み、土は金を生み、金は水を生み、水は木を生む。

相生

相克

五行のなかで一方に悪い影響を及ぼす関係を相克という。

相克

いろいろな五行

五常

五常=仁・義・礼・智・信。

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