説話

安倍晴明物語(安倍晴明記) 現代語訳 厭魅の法を以て蛙をころすこと

基本情報

安倍晴明物語とは

内容

ある時、晴明が広沢僧正の御坊を訪れて話をしていると、若い僧たちが、
「式神をお使いになるということでしたら、すぐさま人を殺めることもできるのでしょうか」と聞いてきた。

晴明は答えた。
「たやすく殺めることはできませぬ。
刀なら殺めることもできるでしょうが、小さな虫けらでも命を惜しむのは人と同じです。
それに、罪もないものを殺めてしまえば、蘇らせることは難しいのです。
打ち捨てれば罪になりますので、そのようなことをしてはならないのです」

ちょうどその時、五、六匹程の蛙が庭に躍り出て、池の方へ飛び跳ねて行った。

子供や僧たちが集まってきて、晴明に「あれをひとつ、殺めてみてくださいませんか」と頼んできた。

晴明は言う。
「罪作りな、無益なことをおっしゃる方々だ。
ですが、私をお試しになろうとするであれば殺めてご覧にいれましょう」

晴明は草の葉を摘み取って、呪文を唱えかけながら蛙の跳ねる方へ向かって投げやった。
草の葉が蛙の上に覆い被さるかと見えたその時、蛙はぺしゃんこに潰れて死んでしまった。

僧や子供たちはこの有様を見て真っ青になり、恐ろしいことだと思った。

関連

『安倍晴明物語』を読む

序
占兆根元のこと
伯道上人のこと
安倍仲麿入唐のこと
吉備大臣入唐付殿上にて碁を打つこと
吉備公文選を読むこと
長谷寺観音のこと付法道仙人のこと
吉備公野馬台の詩を読む并びに読む法のこと
吉備公仲麿が末を尋ぬること
晴明出生のこと
安倍童子竜宮に行きて秘符を得たること
安倍童子鳥語を聞き晴明という名を賜りしこと
道満のこと
道満と晴明智恵比べのこと
晴明入唐付伯道の弟子となること
晴明殺さるること
伯道上人来朝并びに道満法師ころさるること
人形を祈りて命を転じ替えたること
庚申の夜殿上の人々を笑わせしこと
花山院の御遁世を知ること
三井寺泣不動のこと
厭魅の法を以て蛙をころすこと

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