あらすじ
安倍晴明物語とは
内容
播磨国印南郡に、道満法師という智人がいる。
芦屋村主清太の子孫である。
さて、清太は法道仙人に逢って天文・地理・易暦を学び、書典に記して家に伝えた。
その書を、清太の子孫の一人が密かに学び熟して、おおむねその理に到達した。
そして、自分は法道仙人の弟子だと偽り、法師となって、法道仙人の”道”の字を取って道満と名乗った。
道満は仏法のことをまったく知らず、高慢で非法乱行だったが、占いには優れており、度々奇特を顕して田舎の愚人を誑かしたので、人々は道満を畏れ尊んで、愚かにも何も言うことができなかった。
道満自身もまた、陰陽五行・天文地理・易暦において自分と肩を並べる者はいないだろうと慢心していた。
そんな折、都に優れた占い師が現れ、帝のご病気の原因を占い出し、官位を授かり宮中に仕え、晴明という名を賜ったと聞いて、道満は思った。
「私を差し置いて、天下にそれほどの者がいるとは思えぬ。
もし、それが本当ならば穏やかではないことだ」
道満は嫉妬の思いを深くして、都に上って晴明と智恵比べをして打ち負かし、自分こそが天下の名人と呼ばれようと思い立って、都へ上った。
程なくして道満は都に着き、晴明の家を探してたどり着いた。