ルチフェロなりしサタンの正体について考察する

1.5部

1.5部「亜種並行世界 屍山血河舞台 下総国 英霊剣豪七番勝負」で妖術師とキャスター・リンボが崇拝していたルチフェロなりしサタンとは一体何者なのか、そもそも、ルシファーとサタンはなぜ同一視されるようになったのか?サタンの目的とは…?
ルチフェロなりしサタンの正体について考察していきます。

「なりし」とは古典語で「〜であった」という意味なので、”ルチフェロだったサタン”となります。

そもそも剣豪とは何だったのか

ルチフェロなりしサタンの正体について考える前に、サタンが初めて登場した下総国は二部の予習的な位置づけだと思われるので、まず剣豪で二部に関係している箇所をピックアップしていきます。

異なる結果、敗れし者たちの未来

現在(汎人類史)⇒ 正しい選択、正しい繁栄による勝者の歴史

異聞帯⇒ 過った選択、過った繁栄による敗者の歴史
      ”不要なもの”として中断され、並行世界論にすら切り捨てられた”行き止まりの人類史”

つまり、「異なる結果、敗れしものたちの未来を浮上させる」とは穢土城を本格的に起動させて異聞帯にしようとしていたということです。

異聞帯のなりかけで特異点ではないので、抑止力として村正が喚ばれていました。
(特異点ならざるここには抑止の手が及ぶ)

空想の根はサタンの御遣い

厭離穢土城が完全起動した時、宙から空想の根が落ちるのをみて、妖術師は「サタン様の御遣い」と言っていました。
”空想の根”は空想樹のことでしょうから、サタンの御遣い=空想樹ということになります。

ちなみに”厭離穢土”とは

煩悩にけがれた現世を嫌い離れること。
です。

異なる星の神が観測した異世界

リンボは下総を「なる星の神が、その異なる目で観測した異世界ー特異点と似て非なる異界」だと言っていました。

大体察してしまったと思うんですが、異なる星の神=異星の神です。

1.5部の中で他の3つ(新宿、アガルタ、セイレム)は「亜種特異点」と記載されていますが、剣豪だけ「亜種並行世界」となっているのは剣豪の下総だけ異星の神が観測したことによって異聞帯になりかけていたからです。

また、「カルデアへの現出には失敗しましたが、サンプルとしてはよいデータが残せたのでは?何しろ失われた歴史(ミッシング・ベルト)をようやく、ようやく見出すことに成功したのですからね!」

この『失われた歴史』ですが、「失われた=ミッシング」「歴史=ベルト」で「歴史」を「帯」としていることからも、『失われた歴史=異聞帯』と思われます。

さらに、この台詞の後「興味深い事例であったでしょう、サタン様!」と続いていることから異星の神≠サタンの可能性もあります。

本編内での『ルチフェロなりしサタン』

剣豪のストーリー内での言及

 

  • ”声”を発することができる
  • カルデア(またはカルデアのマスター)を疎んでいた
  • 空想樹が御遣い

妖術師はサタンの声を聞き、自ら扉をくぐって”同胞である人どもに殺され続けた神”に出会ったと言っていました。
文脈から判断すると、サタンと”同胞である人どもに殺され続けた神”は別々の存在だと思われます。

同胞とは

同じ国土に生まれた人々。同じ国民。また、同じ民族。

なので、”同胞である人どもに殺され続けた神”は元々は人間だったことがわかります。
個人的には『E検体』として拷問を受けた異星の巫女(=前所長)だと考えています。
(「見ているだけ」の巫女が妖術師やリンボに声をかけるのは想像し難い)

また、「サタン様があれほど疎んだカルデアのマスターも、蓋を開けてみればこの程度」と言っていたことから、サタンはカルデアの存在を知っていることがわかります。
(最後の方でリンボも「カルデアへの現出は失敗しましたが〜」とサタンに語りかけている)

ルチフェロなりしサタンの『ルチフェロ』

『ルチフェロ』⇒イタリア語で『ルシファー』

『ルチフェロなりしサタン』の『ルチフェロ(Lucifero)』とはイタリア語でルシファーを指します。
英霊剣豪の”プルガトリオ”、”エンピレオ”などの名前はダンテの『神曲』が元になっています。(黒縄・衆合地獄は除く)

ルシファーとはラテン語で”明けの明星”を指す言葉で、光をもたらすものという意味です。

明けの明星…明け方に輝いて見える金星のこと。

『神曲』におけるルチフェロ(サタン)

『神曲』でのルチフェロはかつて最高位の美しい天使でしたが、その高慢さから天界を追放され堕天使となり、醜い”魔王(サタン)”となり地獄の最下層であるコキュートス(ギリシャ神話に登場する冥府の川)の中心で氷漬けにされています。
そして3つの顔を持ち、それぞれ3人の裏切り者(キリストを裏切ったイスカリオテのユダ、カエサルを裏切ったブルートゥスとカッシウス)を噛み締めています。

このサタンがいる場所なんですが、地球が天界から落ちてくるサタンにぶつかるのを嫌い身をよじったことがきっかけで、地球に裂け目ができてサタンの体が地球の最深部に刺さることとなります。
サタンが刺さる前にあった土地は彼を恐れて北半球に逃げ、南半球にあった土地もサタンを避けて移動したので、サタンの周りに”地獄”という空間が残ったのです。
そして、ここでいう地球の最深部とは地球の中心部のことなので、「地球の中心に地獄が存在する」ということになります。

『傲慢』の罪によって堕天する

元々、ルシファーは熾天使と呼ばれる天界で最上位の天使でした。
熾天使の”熾”は燃えるような情熱と愛を持っていることを表しています。
(燃えるような愛→燃えるような人類愛→煮えたぎるような人類愛…?)
そして熾天使の”セラフィム”の語源は、カルデア神話に登場するセラピムという六枚の翼を持つ蛇の姿をした稲妻の精が起源であるともいわれています。

熾天使とは、天使の階級の中で最も高い天使です。
しかし、傲慢の罪によって多くの仲間を引き連れて堕天し悪魔となり、サタンと同一視されるようになりました。

★☆★天使の九階級★☆★

【上位三隊】
①熾天使(セラフィム)…天使の中でも最上位。神に一番近いとされている
②智天使(ケルビム)…エデンの園の番人
③座天使(スローンズ)…戦車になって神を乗せる
【中位三隊】
④主天使(ドミニオン)…下位の天使たちを監視する
⑤力天使(ヴァーチュス)…奇跡を起こすことができる
⑥能天使(エクスシア)…悪魔と戦う機会が多く、堕天してしまう天使が多い
【下位三隊】
⑦権天使(アルケー)…人間界の統治者を悪魔の誘惑から守る
⑧大天使(アークエンジェル)…人間に神のお告げを伝える
⑨一介天使(エンジェル)…人間を見守る

旧約聖書儀典『アダムとエバの生涯』では、天地創造の時に神は天使を作った後自分自身の姿に似せたアダムを造り、天使たちにアダムを拝するように言いました。
しかし、ルシファーは自分よりも劣るアダムを拝することはできず、説得するミカエルに対し
「神が怒るなら、私は自分の座を天の星よりも上に置き、いと高き方と似たものになってやる」と言ったことで神の怒りに触れ、仲間とともに地上に投げ落とされた、という話もあります。

ルシファー=ネブカドネザル2世説

旧約聖書の『イザヤ書』14章12節には、

ああ、お前は天から落ちた明けの明星、曙の子よ。
お前は地に投げ落とされたもろもろの国を倒した者よ。
かつて、お前は心に思った。
「わたしは天に上り王座を神の星よりも高く据え神々の集う北の果ての山に座し
雲の頂に登っていと高き者のようになろう」と。
しかし、お前は陰府(よみ)に落とされた
墓穴の底に。

旧約聖書『イザヤ書』14章12節 より

「明けの明星、曙の子」をラテン語で訳されたのが「ルシフェル(=光をもたらすもの)」です。

ここでいう”お前”とは、一説によるとネブカドネザル2世を指すといわれています。
ネブカドネザル2世とは新バビロニア王国(カルデア王朝)の2代目国王で、彼の治世の時に新バビロニアは最も繁栄したといわれています。
また、一説によるとネブカドネザル2世はソロモンとシバの女王の間に生まれた子供という説もあります。

熾天使を表すセラフィムの語源がカルデア神話から来ていることも相まって、ルチフェロなりしサタンはカルデアにまつわる誰かなのではないかとも思われます。

そして、この”明けの明星(ルシファー)”が落ちていくさまを

イエスは言われた。
「わたしは、サタンが稲妻のように天から落ちるのを見ていた。

『ルカによる福音書』10章18節より

『ルカによる福音書』のサタンが落ちていく様子と重ね、ルシファーという天使が堕天してサタンという悪魔になったという考えが広まっていきました。

ルチフェロなりしサタンの『サタン』

サタン(Satan)はヘブライ語の”satan”(「敵対者」「反対する者」)に由来します。

すべての悪魔を支配する大魔王

元々サタンは神の宮廷の一員でしたが、さまざまな悪魔の性格が融合することによって悪魔と成り果てました。
また、サタンは七つの大罪で『憤怒』を司っています。(ルシファーは『傲慢』)

『マタイの福音書』では

すると、イエスは言われた。「退け、サタン。『あなたの神である主を拝み、ただ主に仕えよ』と書いてある。」そこで、悪魔は離れ去った。すると、天使たちが来てイエスに仕えた。

『マタイによる福音書』4章10-11節 より

イエスは振り向いてペトロに言われた。
サタン、引き下がれ。あなたはわたしの邪魔をする者。
神のことを思わず、人間のことを思っている。」

『マタイによる福音書』16章23節 より

サタンはキリストの邪魔をする者として描かれています。

そして、『ヨハネの黙示録』においても

竜は女に対して激しく怒り、その子孫の残りの者たち、すなわち、神の掟を守り、イエスの証を守りとおしている者たちと戦おうとして出ていった。

『ヨハネの黙示録』12章17節 より

サタンはイエスを守るものと戦おうとした、つまり反キリスト的な立場なんですよね。

竜や蛇と同一視される

サタンと竜は非常に密接な関係がありますが、元々の竜の姿は大蛇のようなものでした。

その日、主は厳しく、大きく、強い剣をもって逃げる蛇レビヤタン
曲りくねる蛇レビヤタンを罰し
また海にいる竜を殺される。

『イザヤ書』27章1節 より

竜は悪の象徴として描かれてきましたが、『黙示録』でサタンが竜の姿で現れたことによって、竜とサタンが結び付けられるようになりました。

さて、天で戦いが起こった。ミカエルとその使いたちが、竜に戦いを挑んだのである。
竜とその使いたちも応戦したが、勝てなかった。そして、もはや天には彼らの居場所がなくなった。この巨大な竜、年を経た蛇、悪魔とかサタンとか呼ばれるもの、全人類を惑わす者は、投げ落とされた。地上に投げ落とされたのである。

『ヨハネの黙示録』12章7節 より

サタンとは竜であり、蛇であり、悪魔であると。

サタンが人間として生まれた存在・アンチキリスト

アンチキリストは人間界のサタンというべき存在(サタンが人間として生まれたとも)で、
キリスト教の終末論において世界が終わる時に「自分が救世主(キリスト)だ」と主張し、異教徒や異端者を集めて抵抗を行う偽救世主が現れる、という話があります。
つまり、

キリストの名を騙りながら、キリストに敵対するもの

はい。

スキル『ネガ・メサイヤ』を持っているビーストⅥもこれにあたるかな…と考えています。

サタンの真名は”大いなる呪い”で”恐るべき音節”

剣豪の最後の方でリンボがサタンの真名?と思われる名前を口にしますが、肝心の名前が「失礼いたしました、我が愛しき御方――■■■■■■■■■さま」と伏字になっていて読めませんでした。

地の文(安倍晴明による泰山解説祭という説もある)によると、サタンの名前は「恐るべき音節であり、世界への大いなる呪い」を意味するのだそうです。

ここではサタンの正体っぽいものをいくつか検証していきます。

①タイプ・ヴィーナスの場合

空想樹は「惑星に落下し、大地に根を張り、胞子を撒き散らして惑星上を食い尽くす」タイプヴィーナスと特徴や性質が似ていることから空想樹=タイプヴィーナスと考えられますが、空想樹の正体がタイプ・ヴィーナスであればヴィーナス=金星なのでルシファーとも関連が出てきます。
サタンがタイプ・ヴィーナスだとすると

「失礼いたしました、我が愛しき御方――タイプ・ヴィーナスさま。」

……。

確かにタイプ・ヴィーナスはアルテミット・ワンの一つだし、地表に降りた時点で現生態系の終焉を意味するので恐るべき存在ではありますが、名前そのものは”恐るべき音節”ではないし、”大いなる呪い”という感じではないです。

また、タイプ・ヴィーナス(金星)に対してタイプ・サターン(土星)と呼ぶのが滑稽になるのかというと

(悪魔の)サタン =Satan

(土星の)サターン=Saturn

そもそもスペルも発音も違うので、両者はまったくの無関係です。
サタンの御遣い=空想樹でタイプ・ヴィーナスの御遣いがタイプ・ヴィーナスというのは変ですから、空想樹がタイプ・ヴィーナスだったとしてもルチフェロなりしサタンはタイプ・ヴィーナスではないと考えています。

また、プルガトリオ(破)でリンボはサタンのことを「偉大なる悪魔の王」と言っていて、宿業を埋め込む時に使った五芒星を逆にすると『逆五芒星(デビルスター)』といって悪魔の象徴となるので、「サタン」は土星のサターンではなく、悪魔の方のサタンを意味しています。

ちなみに全然関係ない話になってしまうんですが、同じくプルガトリオ(破)で妖術師が英霊剣豪を「時を超えて顕れたる我が手駒七騎」と言っていて、「顕れたる」に『人類悪顕現』の”顕”が使われているんですが、英霊剣豪は人類悪ではなかったので”顕”の字が使われているからといって人類悪というわけではないみたいです。

②ネブカドネザル2世の場合

続いて、ルシファーと同一視され(誤解釈ですが)、カルデア王朝の国王でもあるネブカドネザル2世について検証してみます。

「失礼いたしました、我が愛しき御方――ネブカドネザル2世さま。」

……。

ネブカドネザル2世の名前が”大いなる呪い”と言われてもいまいちピンと来ないですし、唐突な感じがします。

③マザーハーロットの場合

新約聖書においてサタンはローマ皇帝または黙示録の獣を指し、さらにサタンはローマ皇帝ネロの姿で顕現するとも言われています。

ネロは大淫婦バビロンと同一視されますが、バビロンが黙示録の獣に跨った状態で現れるとして

「失礼いたしました、我が愛しき御方――マザーハーロットさま。」

マザーハーロットは「みだらな女たちや、地上の忌まわしい者たちの母」ですから呪いといえば呪いです。
また、妖術師はサタンを”魔王”とも呼んでいましたが、ネロは「魔王にだってなれる」と言われているし、セイバーヴィーナス=金星なのでルチフェロなりしサタン=マザーハーロットでも一応筋は通ります。

ただ、なぜマザハの御遣いが空想樹で銀河の名前を冠しているのか(異聞帯が7つあるんだから、銀河より7つの丘の名前を使った方が適しているのでは)、そもそもサタンと同一視されている存在に対してサタンと呼ぶのは滑稽や悪ふざけに当たるのか…という点が引っかかります。

ルチフェロなりしサタン=ビースト説

サタンの目的は神代回帰!?

サタンの可能性がありそうな候補をいくつか挙げてみましたが、わかったのは

どれも違う

しかし、ここで試してみて逆にわかったのは”サタン”と呼ばれているのはおそらくサタンそのものと同一視される存在ではないこと、土星ではなく悪魔の方のサタンと関係がある…ということは分かりました。

「よりにもよって」と言われるくらいですから(本物の)サタンとも何かしらゆかりのある人物とも考えられるんですが、それが「滑稽」で「悪ふざけ」になるので元々はサタンとは正反対の、所謂救世主的な、人類を守る立場の人だったのかもしれません。

もっとも、「救世主的な立場でありながら救世主(キリスト)を否定する」となるとビーストⅥの『ネガ・メサイヤ』感が出てアレなので、おそらくストレートな救世主否定ではないと思うんですよね。

ここで『西暦』以降の人類史についてなんですが

・神代は終わり、西暦を経て人類は地上でもっとも栄えた種となった

・西暦を迎えた時点で地上から神霊は消失した

・西暦以降人理定礎は安定しない

そもそも西暦とは

イエス・キリストが生まれたとされる年の翌年を元年(紀元)とした紀年法

つまり、

西暦以降人理は安定しない
→もう一度西暦になる前の神代の時代からやり直す
西暦以降の汎人類史を否定し、神代に回帰する

西暦以降の人類史を否定するというのは、ある意味で「キリストの誕生を否定する」→「キリストを否定する」→「サタン」と結び付けられなくもないですから、あくまで否定しているのは神代の途絶えた人類史であっても、結果的にはキリストを否定する形になる、それでサタン…ってことです。

ビーストⅥが反キリストでビーストⅦも反キリストになるのかというと、
ビーストⅥがストレートに救世主を否定する存在であるのに対し、ビーストⅦは神代が途絶えた人類史の否定(神代回帰)ですから直接的なキリスト否定ではないのでこの考え方でいけば被ることはないかな…と思います。

ああでも第一魔法の使い手がキリストなら、「第一魔法を否定するもの=サタン」でもいいのか
無の否定→中身を作ろうとするのはこの宇宙の悪い癖→虚空には神ありき(おっ…?)

今の人類では人理が安定しない、だから人類を滅ぼしてもう一度神代からやり直そう
これはもうまさに

真に人理を脅かすものは、人理を守ろうとする願いそのもの
より善い未来を望む精神が今の安寧に牙を剥く、即ち『人類悪』

だと考えられるんですね。

(連想ゲーム的にサタン→悪魔→真性悪魔→人類悪とすることもできるんですけど、これだとちょっと短絡的なので)

また、水着剣豪の第三カジノ「流れるウォーター・カジノ」でジークフリートが言っていた

このカジノでは決して欲を出してはならない。間違いなく、自滅して悪竜になるぞ。
行きすぎた欲を持つと自滅して悪竜になる、これが俗に言う『悪竜現象』だと思うんですが、
これは”自業自得のアポトーシス”であり自滅機構と呼ばれているビーストと発生経緯は近いんじゃないかと思うんですよね。
そして、元々サタンは竜と同一視される(というかこの竜が黙示録の獣でもあるんですが)
つまり、ここでのルチフェロなりしサタンというのは
元は”ルチフェロ”のような高潔な存在だった人物が、行きすぎた欲(=今ある人類を滅ぼしてでも人類を救いたいという欲、人類愛)を抱いたことによって人類悪、または悪竜現象を引き起こし悪竜となったという『堕天』によって”サタン”になった…とも考えられるんですね。
こうなってくるとサタンの真名が「世界への大いなる呪い」というのも、「呪い」が「悪性情報」すなわち人間の悪性を指しているようにも見えます。
あるいは、聖杯の泥…この世すべての呪いを凝縮した異物、とか…。

英霊剣豪と死徒

英霊剣豪には死徒との共通性が見られますが、死徒とは

吸血種の中で吸血鬼、と呼ばれるモノたちの大部分を占める吸血種。
—–中略—–
他者の血を吸うようになった死徒は、いつからか吸血行為そのものに優越性を感じ始め、自己の能力を強化していく。自己の意志を強化し、真祖の支配を逃れた死徒は人の世界に逃げ込み、自らを保存する為に吸血行為を繰り返す。

月姫読本Plus Period 『死徒』 より

そして、サタンが人類史を否定する存在なのだとしたら、Fake3巻の

英霊とは人類史を肯定するモノ。人間世界の秩序(ルール)を護るモノだ。
我ら死徒は人類史を否定するモノ。君達のルールを汚すために存在してきた。
英霊召喚が可能なFate世界では死徒の力は弱く二十七祖も存在しないんですが
死徒二十七祖の一人(一匹)であるプライミッツ・マーダーはFGO世界ではビーストⅣとして存在していること、さらに
故に人が作りし宝具…あるいは神が人の為に用意した宝具の加護を我々は否定することができる。神が神の為に作った宝具ならばまた話は別かもしれんが、そこまでの代物はそうそう用意できまい?これは純粋に相性の問題だ。私は蛇で、君らはカエル。ただそれだけの単純な話だ。
そして、ビーストⅡであるティアマトのスキル『ネガ・ジェネシス』も「正しい人類史から生まれたサーヴァントたちの宝具に強い耐性を得る」という、死徒の宝具耐性と似たような効果を持っていることからも、ビーストと死徒は何らかの関係がある可能性が高いです。
(ビーストⅥのスキル『ネガ・メサイヤ』もこれと同類のスキルである)
また、Fake4巻でギルがアルケイデスの裘(かわごろも)を見て
魔獣や神獣というものは時に人類の文明を拒絶するものよ。
少なくとも―アレには人が生み出すあらゆる道具は通じぬであろうな。
アルケイデスの裘はネメアの獅子を加工したものであり、これは”人理を否定する獣の皮”でした。
また、アルケイデスが死徒を見て
「恐らくは、星の産み落とした獣か何か……人型をした、ネメアの獅子か。」
己を覆う毛皮の持ち主であった獅子を思い出し、警戒を一段階強めるアルケイデス。
このネメアの獅子が「ウガルルムに似た何か」と言われているんですが、ウガルルムはティアマトが生み出した十一の怪物の一つです。
 
なので、英霊召喚が可能な世界において死徒はビーストの眷属である可能性が考えられるんですね。

英霊剣豪は、夜の帳が下り、血塗られた赤い月が上った時に現れます。

この英霊剣豪というのがリンボ曰く

如何なる刃によっても傷付かず、死なず、斃れず。
普通に攻撃しただけでは死なないと。

死徒もまた人の作りし刃で貫くのは無理で、神による聖別あるいは人間とは異なる類の力でなければ貫くことはないので、この点においても死徒との共通性が見られるかなと思います。

つまり英霊剣豪がルチフェロなりしサタンの眷属でサタンがビーストという図式が成り立てば

死徒二十七祖と死徒≒ビーストとその眷属

に説得力が増します。

サタン=ビーストⅦ説

ビーストⅦの理は『慚愧』!?

現在判明しているビーストⅠ〜Ⅳは席が埋まっていて(エミヤオルタの背中の「Ⅳ」問題とかありますが、フォウくんが再学習中である以上Ⅳが空席になることはないと思う)、ビーストⅤが(多分)『愛玩』でコヤンスカヤと誰か、ビーストⅥが大淫婦バビロンと黙示録の獣、で上で説明した人類愛の性質からすると『愛玩』ではないだろうから消去法で残っているⅦということになりますが、今のところⅦの理は1部7章で老人(ジウスドゥラ)が言っていた

謂われのない憐憫は悪の一つであり、謂われのない慚愧も、また悪の一つ。
『慚愧』ではないかといわれています。
悪の一つと言われた『憐憫』は実際にビーストⅠの理でした。
で、『慚愧』も悪の一つであり、『憐憫』と対であるように語られていることから考えると、
ビーストⅠの『憐憫』とビーストⅦの『慚愧』で対になっているかもしれないんですね。
慚愧とは
自分の見苦しさや過ちを反省して、心に深く恥じること。
他者に対する憐れみの『憐憫』に対して、『慚愧』は自己に対する憐れみということで対になっています。
自分に対する憐れみ…これが人類に対して働くわけですから、「人類はなんて愚かなんだ!」とかそういう感じっぽいですね。人間そのものは好きだけど、今の時代を生きている人間は無理、みたいな…。だから人類に絶望したビーストⅦが今の愚かな人類を滅ぼして、新しい人類を作り直すってことなんだと思います。
あるいは、『愚か』というよりは、今の人類は不完全だから、もう一度最初の状態からやり直して完全(完璧)な人類を作ろう…ということなのかもしれません。

ビーストⅦはクリフォトだと『無神論』

ビーストⅦはクリフォトの樹においては『無神論(サタン)』という悪徳に対応しています。
悪徳の名前も奇しくもサタンです。
(名前がサタンだからビーストⅦだ、という考え方はイシュタル・アシュタレトがビーストⅤではない前例があるのであまり好きではないんですが…)

無神論とは

神の存在を否定する考え方。
サタンは神代回帰を目指していると言っておきながら人間も神も否定するのか!?となるかもしれませんが、これは多分人類を滅ぼして神代回帰した先がさらにあって、汎人類史も滅ぼすけど神様主体の人類…ではなく、かといって人間が神の上に立つ…のも人間が神様並みの力を得ないと難しいでしょうから人間と神が共に歩んでいくんだけどあくまでも人間主体の人類みたいな感じなんじゃないかと思います。
もしくは、
ビーストⅦ>神>人間 (神の上に立とうとするのがルシファー感ある)
みたいな上下関係なのか…
ただ、
神が実在するかどうかなど知る術が無いといった立場から、神の存在を信じない
(けど「神が存在するなんて嘘だ」とは言わない)
無神論の中にはこういった主張も存在する、というのは少し気になりますが…。
(そもそも神代が途絶えた西暦以降(=キリスト誕生以降)の人類史を否定するのが『無神論』にあたるって考え方もできますが)
 
そして、元が神なら『無神論』は当てはまらないことから考えてもビーストⅦは人間である可能性が高いです。
つまりその、
人類を代表して人類を滅ぼす
のがビーストⅦだと思うんですよね。

如何にしてビーストⅦになってしまったのか

まとめると、剣豪におけるルチフェロなりしサタンというのは

天界で最上位の天使である”熾天使”だったルチフェロはその燃えるような愛によって今の人類に絶望し、神代の時代から人類をやり直そうと願う(西暦以降、即ちキリスト誕生以降の人類史の否定→キリストの否定→サタン)
→それは”よりよい人類を願う精神が今の人類を滅ぼす『人類愛(行き過ぎた欲)』”となりサタン(人類悪)に堕天した

…ということなんだと思います。