金丹とは、仙人になれる薬のことである。
葛洪の『抱朴子』によると、金丹は空を飛んだり鬼神を使役できる上薬のなかで最も優れた薬なのだという。
作り方
丹華
これを服用すると、7日で仙人になれる。
以下の材料を練り合わせて36日間火にかける。
- 雄黄水(硫化砒素)
- 礬石水(明礬の水溶液)
- 戎塩
- 鹵塩
- 礜石(砒素を含んだ石)
- 牡砺(牡蠣の殻)
- 赤石脂
- 滑石
- 胡粉
できた丹を玄膏で丸めて強火で焼くと、黄金になる。
神丹(神符)
一匙服用すると100日で仙人になれる。
三匙服用すると体内に潜む三尸の虫が消滅する。
足に塗ると水の上を歩けるようになる。
神丹
毎日一匙ずつ服用すると、100日で仙人になれる。
100日目になると、仙人や鬼神たちが迎えに来る。
剣や槍による攻撃を跳ね返せるようになる。
家畜に丹を飲ませた場合は、不死になる。
還丹
毎日一匙ずつ服用すると、100日で仙人になれる。仙人になれる日には朱雀や鳳凰、仙女が迎えに来る。
この丹を一匙と水銀220グラムを混ぜて焼くと、黄金になる。
銭に塗ると、使ってもその日のうちに戻ってくる。
人の目の上に字を書くと、鬼を遠ざけることができる。
餌丹
これを服用すると30日で仙人になれる。
鬼神と仙女が迎えに来る。
練丹
これを10日間服用すると仙人になれる。
汞(水銀の化合物)と混ぜて焼くと黄金になる。
柔丹
これを服用すると、100日で仙人になれる。
いちご汁に混ぜて服用すると、90歳の老人にも子供を産ませられるようになる。
鉛に混ぜて焼くと黄金になる。
伏丹
これを服用すると、その日のうちに仙人になれる。
棗の種子ほど持っていると鬼を避けられるようになる。
門や戸に字を書くと悪霊や盗賊、獣を遠ざけることができる。
寒丹
毎日一匙ずつ服用すると、100日で仙人になれる。仙女と仙童が迎えに来る。
空を飛べるようになる。
九転金丹
九転金丹を服用すると不老不死になる。
一転目から九転目まで金丹の服用日数は異なる。
転の数 | 服用日数 |
一転 | 3年 |
二転 | 2年 |
三転 | 1年 |
四転 | 半年 |
五転 | 100日 |
六転 | 40日 |
七転 | 30日 |
八転 | 10日 |
九転 | 3日 |
転の数が少なければ金丹の効力は弱いため、服用日数は長くなる。
転の数が多ければ金丹の効力も強まるため、服用日数は短くなる。
参考資料
- 野口 鉄郎 (編集)、福井 文雅 (編集)、坂出 祥伸 (編集)、山田 利明 (編集)「道教事典」平河出版社、1994年
- 真野 隆也「タオの神々 (新紀元文庫)」新紀元社、2012年
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