平安時代の女性の服装には、大まかに分けて三種類ある。
- 正装
- 表向きの服
- 褻の服
正装
特別な儀式の時のみ着用する。
表向きの服で着る単(単衣)+複数枚の袿+表着+袴+裳+唐衣に加え、比礼・裾帯を着け、額(金属の飾り)を頭に戴き、釵子をさす。

単(単衣)
インナーにあたる服だが、上に着る袿よりもサイズが大きかった。
緑色のものが多いが、白や茶色もある。
菱形模様が多く見られた。
十二単
「十二単」と言うが、重ねているのは単ではなく袿である。
数も十二枚限定というわけではなく、十二枚以上着ている女性もいた。
だが、後世には袿を重ねすぎて派手な出で立ちにならないように五枚までに限定された。
これを五衣という。
袿
単の上に着る。
身長よりも長い。
襲(かさね)
単の上には色違いの袿を何枚も重ねて着るが、この時の色の重なりを襲という。
この色は、季節などに合わせて工夫をした。
袿は表と裏でそれぞれ違う色が用いられている。
表が白で裏が赤の場合は、表の白が透けてピンク色に見える。
色の重ね方にはさまざまな種類があり、一色ずつ色の濃さを変えていくグラデーション方式などがあった。
出衣(いだしぎぬ)
御簾や牛車の中から、美しく重なっている袿の袖口や裾をわざとはみ出して見せること。
表着(うわぎ)
袿の一番上に着る服。
袴

袴は現代のパンツ(ズボン)にあたり、色は赤紫である。
袴は足の長さよりも長いので、立つ時は踏んで歩いていた。
裳(正装時のみ着用)

後ろに回して、紐を結んで着ける。
唐衣(正装時のみ着用)
襟を大きく折り返して、肩に滑らせて着る。
普段着
単(単衣)+複数枚の袿+袴で構成される。
袿の上に何も着ないときもあったが、小袿を羽織ることもあった。
しかし、夏になると裏地のついていない袿を着たり枚数を少なくすることもあった。
室内で過ごす時は、単だけでくつろぐこともあったのだという。
小袿(こうちぎ)
表向きの服
宮廷または貴族の家の侍女が主君の前に控え、来客応対をするような場合に着用する。
基本的には、単(単衣)+複数枚の袿+表着+袴+裳+唐衣の構成である。
褻の服
小袿と細長を着る。
後宮の女性の場合は自分の局にいる時や自宅にいる時以外は、褻の服を着る機会はほとんどなかった。
参考資料
- 川村 裕子「平安女子の楽しい!生活」岩波書店、2014年